キュービクルの更新・交換に続いて、今回は“点検・保守体制”をしっかり固める内容をお届けします。
いざというときのために、法定点検・未然防止・コスト削減の観点から実務的視点で整理しました。
キュービクルの“保安点検”ってなに?なぜ必要?
- 電気事業法に基づく「自家用電気工作物」は、定期的な点検が法的義務です
- 点検で未然にトラブルを発見し、感電・火災・波及事故を防ぐ目的があります
月次:電流漏れ、異音、異臭など日常的な状態確認
年次:停電下で絶縁抵抗・接地抵抗・継電器試験など精密検査
点検の“具体的内容”と頻度
月次・隔月点検の例
- 外観(外箱・配線・接地)の目視確認
- 電圧・電流・漏電を測定
- ブレーカーや配電盤の温度チェック
- 非常用電源の起動テスト
年次・隔年精密点検の例
- 停電状態での絶縁抵抗、接地抵抗測定
- 総合的な継電器・遮断器・断路器テスト
- 変圧器の絶縁油試験や内部確認
1~2か月隔月の月次点検+年次停電点検が標準的な体制です。
点検の“相場感”とコスト対策
受電容量 | 月額(点検込み) | 年額換算 |
---|---|---|
100kVA | ¥9,000~11,000 | ¥108,000~132,000 |
200kVA | ¥12,000~17,000 | ¥144,000~204,000 |
500kVA | ¥20,000~28,000 | ¥240,000~336,000 |
- 点検委託先を複数比較することで、20%~30%のコスト削減も可能
- 一部では、月1~5万円、大規模施設で年間30万円~など報告あり
削減のヒント
- 無駄なサービスを整理し、複数業者で見積比較
- 電力契約と点検サービスを組み合わせた提案が◎
点検をサボると?リスクと実例
主なリスク
- 波及事故:トラブルが地域にも影響し、賠償責任が発生
- 火災・感電事故:漏電や絶縁不良が放置され、人身・財産事故に直結
- 事業停止:突発トラブルによる停電で信頼低下・売上損失
点検業者の賢い選び方ポイント
- 複数見積と比較交渉が必須
- 電気主任技術者の選任(委託)が迅速対応に有利
- 遠隔監視や緊急出動対応が含まれるか確認
- 停電点検と無停電点検の組み合わせが現場に最適か
- 契約期間や解約・保証条件を事前に確認
点検と一緒にすべき“更新・交換判断”
- 点検で「絶縁劣化」「漏電」「動作不良」が見つかった場合、即刻交換検討
- 交換候補:変圧器・開閉器・遮断器など、“キュービクルの中核機器”
- 補助金活用で低コストに切り替えが可能(高効率変圧器など)
- 点検と交換工事を同時発注→停電回数減・総費用削減で効率的
まとめ:点検計画が安全と経営を守る
- 月次+年次の定期保安点検を必ず実施
- 受電容量に応じた相場確認と比較検討を
- 波及リスク・事故リスクを回避するために点検は重要
- 点検から故障 → PCB含有調査 → 更新・交換 → 補助金活用へつなげる一連の流れが望ましい
キュービクルの点検・保守は、単なる形式的な作業ではなく、「人命」「財産」「企業価値」を守るための根幹的な業務です。
法律上の義務であるだけでなく、事故やトラブルを未然に防ぐ最も効果的な手段でもあります。
この記事では、月次点検や年次停電点検の内容から、費用相場、業者選びのポイント、見落としやすいリスクまで幅広く解説しました。
特に重要なのは、「点検と更新をセットで考える視点」です。
劣化兆候が見つかった段階で早期に設備交換を検討すれば、結果的にコスト削減にもつながります。
さらに、キュービクルの更新や交換を進める際には、補助金や助成制度の活用が大きな助けになります。
点検データをもとにした更新計画の策定は、法令遵守だけでなく企業経営における信頼構築にもつながる施策です。
キュービクルの更新、交換など、ご不明な点はsqced(サクシード)までご連絡ください。