― 休業中こそ事故リスクが高まる理由と具体的対策 ―
今年もあと僅かになってきました。この正月は曜日の関係で長期休暇を取る会社も多いと思います。
この年末年始やゴールデンウィーク、夏季休暇など、事業所が長期間無人になる時期は、キュービクル(高圧受電設備)の管理リスクが最も高まる期間です。
「操業していないから安全」と考えがちですが、実際には停電事故・漏電・火災・設備故障の多くが長期休暇中に発生しています。
本記事では、長期休暇時におけるキュービクル管理の注意点を、事前・休暇中・休暇明けの3つの視点から項目別に解説します。
なぜ長期休暇中はキュービクル事故が起きやすいのか
人の目がなくなることによる初動遅れ
通常稼働時であれば、異音・異臭・警報ランプなどの異常に誰かが気付き、早期対応が可能です。しかし長期休暇中は、
- 建物内に人がいない
- 異常を発見できない
- 対応が数時間〜数日遅れる
という状況になり、小さな異常が重大事故へ発展するリスクが高まります。
環境変化によるトラブル増加
長期休暇の多くは、冬季・夏季など気温変化が大きい時期と重なります。
- 冬季:結露、凍結、湿度変化
- 夏季:高温、湿気、絶縁劣化の進行
これらはすべて、キュービクル内部の絶縁性能低下や誤動作につながります。

【事前対策】休暇前に必ず実施すべきキュービクル点検
1.外観・周辺環境の確認
休暇前には、必ず目視による外観点検を行いましょう。
- 扉や鍵が確実に施錠されているか
- 雨水・雪が侵入しそうな隙間がないか
- 周囲に可燃物(段ボール・枯れ葉等)がないか
- 換気口が塞がれていないか
特に屋外設置のキュービクルでは、落ち葉やゴミによる通気不良が多く報告されています。
2.内部異常の兆候チェック
扉を開けて以下の点を確認します。
- 異臭(焦げ臭さ、油臭)
- 異音(唸り音、放電音)
- 表示灯・警報灯の異常
- 油入機器の油漏れや滲み
これらがある場合は、休暇に入る前に必ず専門業者へ連絡してください。
3.電気保安協会・保守業者への事前相談
長期休暇前には、
- 休業期間
- 緊急連絡先
- 異常時の対応フロー
を電気保安協会や保守業者と共有しておくことが重要です。
特に全館停電・部分停電の判断基準は、事前に取り決めておくと安心です。

【運用対策】長期休暇中に意識すべき管理ポイント
1.不要な回路・設備は確実に停止
操業しない設備がある場合は、
- 不要な低圧回路
- 空調・生産設備
- コンセント系統
を停止または遮断しておきます。
これにより、漏電・短絡・過負荷のリスクを大幅に低減できます。
2.受電は止めるべきか?止めないべきか
長期休暇時に「高圧受電を止めるべきかどうか」は、施設によって判断が異なります。
受電を止めるケース
- 完全休業で電力を一切使用しない
- 再通電作業に立会い可能
- 再起動リスクが低い設備構成
受電を止めないケース
- 防犯・防災設備が稼働している
- 再通電時に専門立会いが必要
- サーバーや重要設備がある
判断に迷う場合は、必ず専門業者へ相談しましょう。
3.遠隔監視・警報通知の活用
最近では、
- 漏電監視
- 温度監視
- 停電通知
などを行う遠隔監視システムも普及しています。
長期休暇中の「見えない時間」を補う手段として、有効な選択肢です。

【再開時】休暇明けに必ず行う確認作業
1.通電前点検の重要性
休暇明けにいきなり通常運転へ戻すのは危険です。
通電前には必ず以下を確認します。
- 異臭・異音がないか
- 警報灯が点灯していないか
- 油漏れ・結露がないか
異常がある場合は、絶対に自己判断で通電しないでください。
2.段階的な設備立ち上げ
設備は一斉に起動せず、
- 受電確認
- 分電盤単位で通電
- 負荷設備を段階的に起動
という手順を踏むことで、突入電流や過負荷によるトラブルを防止できます。

長期休暇管理が「キュービクル更新・交換」の判断材料になる理由
1.休暇前後の異常は劣化のサイン
長期休暇をきっかけに、
- 絶縁低下
- 遮断器の動作不良
- 継電器誤動作
が発覚するケースは少なくありません。
これは、設備の経年劣化が顕在化しているサインです。
2.更新・交換を検討すべき代表的な状況
- 15年以上使用している
- 休暇明けにトラブルが頻発
- 部品供給が終了している
- 点検で劣化指摘が増えている
こうした状況では、計画的なキュービクル更新・交換が結果的にリスクとコストを抑えます。
まとめ|長期休暇こそキュービクル管理の真価が問われる
年末年始などの長期休暇は、
キュービクルにとって最も事故が起きやすい期間です。
- 休暇前の点検
- 休暇中の管理体制
- 休暇明けの慎重な再開
この3点を徹底することで、事故・停電・火災リスクを大きく低減できます。
また、長期休暇時のトラブルは、キュービクル更新・交換を検討する重要な判断材料にもなります。
「問題が起きてから」ではなく、「問題が起きる前に」対策することが、事業継続と安全管理の鍵です。

