― 積雪・凍結が引き起こすトラブルを未然に防ぐために ―
近年、全国各地で強い寒波や記録的な大雪が発生し、工場・事業所・商業施設に設置されたキュービクルや電気設備への影響が深刻化しています。
「雪が積もるだけで電気設備に影響があるのか?」と思われがちですが、実際には積雪・低温・凍結は電気事故の大きな原因になります。
本記事では、寒波・積雪時に起こりやすいトラブルと、事前・降雪中・雪解け後に分けた具体的な対策を解説します。

なぜ寒波・大雪はキュービクルにとって危険なのか
雪そのものより「水」と「温度差」が問題
キュービクルは金属製の筐体であり、寒暖差の影響を強く受けます。
雪が直接電気に触れるというよりも、
- 雪が溶けて水になる
- 夜間に再凍結する
- 内部外部で温度差が生じる
こうした環境変化が、絶縁不良・結露・腐食・誤動作を引き起こします。
【事前対策】寒波・降雪前に必ず行いたいチェック
キュービクル周囲の積雪対策
寒波が予想される前に、以下を確認・整備します。
- キュービクル周囲に除雪スペースが確保されているか
- 排水溝・側溝が詰まっていないか
- 屋根雪や落雪が直接当たらない位置か
- 除雪車・重機が接触する恐れがないか
特に除雪後に雪がキュービクル周囲へ寄せられるケースは多く、通気不良や水没の原因になります。
扉・パッキン・換気口の確認
積雪地域では、以下の劣化が事故につながりやすくなります。
- 扉パッキンの硬化・ひび割れ
- 換気口フィルターの目詰まり
- 防水シールの剥がれ
これらは、雪解け水や吹き込みによる内部浸水の入口になります。
【降雪中・寒波期間】運用中に気を付けるポイント
通気・換気を塞がない
雪が積もると、無意識のうちに以下が起こります。
- 換気口が雪で塞がれる
- 防雪目的でビニールや板を被せる
- 除雪した雪をキュービクル側に寄せる
しかし、換気が妨げられると内部温度が上昇し、
変圧器や開閉器の過熱・絶縁劣化を招きます。
防雪と換気は必ず両立させる必要があります。
積雪による扉凍結・開閉不能に注意
低温時には、
- 扉が凍結して開かない
- 無理に開けてパッキンを破損する
といった事例が多く発生します。
凍結時は無理な開閉をせず、温度上昇や解氷を待つことが重要です。

【内部リスク】寒波が引き起こすキュービクル内部トラブル
結露による絶縁低下
寒冷地で最も多いのが結露トラブルです。
- 外気温が低下
- 日中の温度上昇
- 内外温度差による水滴発生
この水分が、
- 絶縁不良
- 地絡
- 継電器の誤動作
につながります。
油入機器への影響
変圧器などの油入機器では、
- 油温低下による粘度変化
- シール部の収縮
- 微細な油漏れ
が起こりやすくなります。
寒波後は油にじみ・汚れの付着を重点的に確認しましょう。

【雪解け後】最も事故が起きやすいタイミング
雪解け水の侵入チェック
積雪が解ける時期は、実は事故発生率が高いタイミングです。
- 底部からの浸水
- ケーブル引込部への水侵入
- 地盤沈下による隙間発生
特に、ケーブルピット・電線管入口は要注意ポイントです。
通電状態の再確認
寒波後は以下を確認します。
- 異臭・異音の有無
- 警報灯・表示灯の異常
- 遮断器・開閉器の動作状態
少しでも違和感がある場合は、自己判断で通電を続けず専門業者へ連絡してください。
寒波対策はキュービクル更新・交換の判断材料になる
冬季トラブルは老朽化のサイン
寒波でトラブルが頻発する設備は、
- 絶縁性能が低下している
- 防水・防塵性能が不足している
- 設計が古い
可能性が高いです。
更新・交換で得られるメリット
最新のキュービクルでは、
- 防水・防塵性能の向上
- 結露対策設計
- 温度耐性の強化
が進んでおり、寒冷地・積雪地域での安定性が大きく向上しています。
まとめ|寒波・積雪対策は「事故予防」と「設備寿命延長」の両立策
寒波や大雪は自然現象ですが、
キュービクルや電気設備の事故は“対策不足”で起こるケースが大半です。
- 事前の点検と周辺整備
- 降雪中の適切な運用
- 雪解け後の慎重な確認
この3段階を徹底することで、事故リスクは大きく下げられます。
また、寒波時のトラブルは、キュービクル更新・交換を検討する重要なサインでもあります。
「今年は大丈夫だった」ではなく、「来年も安全か」という視点で、設備管理を見直してみてください。

